pben’s blog

独り社長の酒場トーク

原発処理水放水による海外の反発

香港政府は12日、東京電力福島第1原発の処理水が海に放出された場合、10都県の水産物の輸入を禁止すると発表。


EUがむしろ規制全撤廃を公式に発表したのとは裏腹に、隣国特に中国と香港が猛反発しています。特に香港は具体的に12日に10の都県(福島・宮城・茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・長野・新潟)の水産物輸入禁止にすると発表されちゃいました。

これ、韓国との場合は極めて政治的側面が強いのだと思うのですが、確か当初予定は8月盆以後だったのが、現在は来春に延期されるとかされないとか、正確な情報が掴めていません。それと、我々国民も何が放水されるのかイマイチ正確に情報が届いていないような。場合によっては”汚染水そのもの”が放水されると思ってたりすんじゃないですかね。

実際は、福島原発事故で汚染されてしまった水を、ALPS処理した水であり、トリチウム以外の放射性物質を、安全基準を満たすまで浄化した水のことで、またトリチウムについても安全基準を十分に満たすよう、処分する前に海水で大幅に薄めるそうで、国連機関IAEAも、海洋放出は科学的根拠に基づくものであるとしています。そのトリチウムって何か?ですが、三重水素という水素の放射性同位体らしいのだが、従来より人体、自然界、海水などに含まれている物質とのこと。


実際、オイラもたまたまこの8月に、香港に輸出出荷する食品(加工食品、サプリメント)があり、当初受注・生産のやりとりをしていた時は無風だったのですが、今週に入って、香港の顧客より「放射線証明」出せと言われたりしています。具体的に国レベルで規制内容が発表されたわけではないので、具体的にどの検査機関による、どの項目・数値を計るのか全く情報も無いですし、そもそも論として、今回の製品加工産地は静岡県です。確かに、海を通ると言えば東京港より船便で輸送はしますが、どうやったら汚染されるのか。そもそも、放水自体仮に行われるとしても、出荷予定日はその前になります。

ということで、論破と納得してもらい、本件は進めますが、各地の報道がどう正確にされているかは読めず、少なくとも今回の放水によって、似たような輸出規制が再び発動されるだろうし、末端ユーザーレベルでは不安だけ増長されるでしょう。もしかしたら、せっかく回復したこれらの国の訪日観光客数は一時的に下降するかもしれない。前者は越境ECビジネスが停滞するし、後者はだって、築地来て新鮮な寿司食えんだろ、ってことになるわけで。

仕方ないとはいえ、困った問題ですなあ。


敢えて逆の立場、隣国各国の目線で考えると、煽りや政治的な側面もあるとはいえ、きっと安心・安全につながる、正確な情報が伝達されていないんだろうな、と思う。例えば、水産物・野菜果実は、香港は中国に次ぐ第2位の日本品輸入国です。政府主導でSNSやインターネット、メディア(場合によっては有名なタレント使いましょ)駆使して、もっと早期にPRするとか、放水を決定事項とする前に政治的ネゴをきちっとやって、各国政府巻き込んで現地PRさせるとか、もっと打つ手はなかったのかね、と。一般的に福島県とその近郊海域・各都道府県との距離感、ALPS処理とトリチウムの博学、等々、普通海外の人も知らねえよ。例えば、もし、仮に北京で原発事故あって、上海へ行って、食事したり、広州で加工された缶詰や鰻を、オレら日本人だって、「はいはい、オールOK! 無問題」ってやっぱり素直に簡単に言えないでしょ、って。そういうことです。

それこそ、岸田サンが、いわきのビーチで泳いで、福島漁港で水揚げされた魚ほおばって、桃のジュース飲んで、っていう画が必要なんでしょうね。



事故も以後も現在もずっと人災